改元後も「平成」利用で費用と労力を削減か?西暦利用は大変か?

憲政史上初めて退位に伴う改元となる今回、今までとは違い様々な面で新元号の発表時期や対応が検討されている。

しかし、ここに来て改元後も「平成」の元号を使い続ける案が出ているという。一体どういうことだろうか?

発表された検討内容によると以下の通り。

税金や社会保障などに関わる行政システムの一部について、政府は新しい元号となる来年5月1日以降も「平成」の元号を一定期間使い続ける検討に入った。行政機関と民間の金融機関など複数がネットワークでつながっているシステムが対象で、納税や年金支給などで混乱を避ける狙い。こうしたシステムを利用する場合には、改元後も「平成」を使う必要がある。

改元に伴うシステム変更負荷を軽減する見込みか?


別記事「2019年のゴールデンウィークに新天皇即位することで起きること」で取り上げたように新元号の発表によってシステム変更を余儀なくされる企業は多い。

前回の「昭和」から「平成」へ変更する際は突然だったため、新元号発表後の対応に追われ徹夜での対応となった企業も多かったという。昭和という時代の中でシステムというものが一般認知され、元号が変更となることによるシステム変更をはじめて経験した人が多かった。

そして平成となり30年。この30年間で多くの企業がシステム化を取り入れ、今やコンピュータなしで企業活動を行っている企業自体が珍しいほどである。そんな社会で次の元号が発表されるということはかなりのインパクトを与えることが容易に想像できる。
中小企業を含めた約421万という企業の数のうち、システム導入している企業は9割を超えての推移となっており、元号が変更されることによるインパクトは大小あわせるとかなりのものであろう。

今回検討が進んでいるのは「行政機関と民間の金融機関など複数がネットワークでつながっているシステムが対象」とのことなのでほぼ大企業が対象となる話ではあるのだが、改元後どこまでの時期を「平成」利用可能とするのかも含めて検討されるに違いない。

西暦利用に統一すればよいのでは?との声多数

ただし、この決定に対して世間からは次のような声が上がってきている。

「西暦利用に統一する」という流れが一番いいのではないか?

この「西暦利用に統一する流れが一番では?」という声は次のようにTwtter上でも多く意見が見られる。


西暦利用に統一することに踏み切れないのか?

様々な意見がある西暦利用だが、実際に統一することに踏み切れないのか?との声も多数上がっているのもまた事実だ。

では、実際に西暦利用することに踏み切るのは実現不可なのか?

答えは「否」で、西暦利用に統一することは実質的に対応することは可能だ。

ただし、元号の対応を行う以上に莫大なお金が必要になるというのもまた事実であると付け加えておこう。

現在の銀行をはじめとした金融機関はほぼほぼ和暦による管理と書類作成というものを行ってきた結果、すべてを西暦に変更しようと思うとざっと換算しても数千億レベルのお金がかかるだろう。下手したら兆単位となってくる莫大な予算が必要になるのは間違いない。

それらが銀行単位や省庁単位でかかってくるのだから、国という形で換算すると数兆円規模の予算が必要となる。各銀行や生保会社といった企業ごとでそれらのお金をすべて用意するとは到底思えないので、国の予算も必要になってくる。そのため、国家プロジェクトとしての対応が必要になるわけだ。

そんな国家プロジェクトを行おうと思えば、稟議書を通す時点から様々な意見が飛び交いまとまらないといった状況は想像に難くない。

そういった状況から筆者は今回はまず「平成」の継続利用を可能とするように協議に入ったと見ている。

どれぐらいの時期まで「平成」利用を許可するのかは不明だが、少なくともシステム改修に取り掛かり完了するまでの時間的猶予は必要だし、各社がそれを案件としてたてて対応するまで1年以上はかかるのだろうから、少なくとも平成35年までは見ていても間違いないだろう。その中で改めて西暦利用に統一するという話を固めていくとなると平成40年ぐらいまで見越していても決して多くないのではないだろうか?

まずは「平成」という元号のシステム利用時期を延ばし、システム変更の負荷を軽減する。その横で西暦利用への統一を協議し、決定までもっていく。5年~10年はかかるであろうが、周囲からの反感を買わないようにこの形でもっていくのが良いのではないかと考えられる。

一部では利用者側の混乱を招くのでは?との声

こういった「平成」を継続利用することに対して一部では「システム変更の負荷は減るかもしれないけど、利用者の混乱を招くのでは?」との声もあがっている。

確かにカレンダーは次の元号となっているのに平成32年以降も平成表記のままとなると色々と弊害もあるだろう。利用者側の書類作成時に新元号から平成換算とするのも結構な手間と言えるかもしれないし、間違いを誘発する結果につながるともとれる。

上記の「平成」継続利用がもし決定されるとなるとカレンダー業界なんかは新元号と平成が同時に表記されたカレンダーの作成を求められるかもしれない。新元号の2年目=平成32年なんていちいち計算するのも面倒なので、それはそれで一部の事業者では対応が求められる結果にも繋がってしまう可能性はあるだろう。

そうした懸念点もあり、西暦利用にすべて統一でいいのでは?という声は年々強まっている。

元号自体を廃止するのは難しいのか?


ここに来て改めて元号廃止、西暦にすべて統一という案も声を強めているように思える。

しかし、元号自体の廃止というのはいささか難しい問題をとることになるだろう。

そもそも元号というのは大化の改新が行われた645年以降、天皇の力を誇示するために1300年以上使われてきたものである。

そのため、元号の歴史というのはかなり古いもので、今更簡単に元号廃止!!なんて決定を下すのはよっぽどの理由がない限り難しいだろう。そもそも西暦に統一するのだって、ワールドスタンダートに合わせるという理由以外何もないし、西暦ってそもそもキリスト教から出てきた考え方なので、キリスト教の国でもない日本がそこにあわせるのはいささか変なのである。

よって、廃止しようと思うとよっぽどの理由が必要だし、天皇制をとっている日本において元号が廃止されるということは天皇制の廃止につながることにもなるのでわざわざ元号を廃止するということの意味をもっと重く捉える必要があるだろう。

そういった意味で元号自体の廃止というよりは「システム面では西暦利用に統一する」というのが一番正しい姿なのではないだろうか?と筆者の意見を付け加えておこうと思う。

新元号の発表は政府が天皇陛下の在位30周年記念式典を開く来年2月24日より後

新元号に対する様々な憶測や懸念点が明らかになる中で、政府からの新元号の発表は早くとも2019年2月24日より後になると言われている。

理由は様々だが、新元号の発表によって新天皇との二重権威が生じる懸念が強まってきたということが主な一つの理由として数えられている。

世論としても上記のような意見が少なくとも見られるし、前回の「昭和」から「平成」といった変更のときや「大正」から「昭和」となったときには新元号の話はタブーだったとされている。新元号の話をすることは崩御を意味し、縁起がよくないとされてきたためだ。

ただし、今回「平成」が終わることに対しては前回までの雰囲気ほどタブーとされていないし、多くの記事が出回っているというのも間違いない事実である。そういった面から以前ほどのネガティブな印象は見られないし、前向きに新元号について議論するということが可能なわけだ。

しかし、一方で上記のような意見も見らえる為、政府としても発表時期を直前にせざるを得ないという状況。

今回の発表時期が次回以降の改元時期のスタンダードとなる確率が高いだけに、大きな決断を政府は迫られていると見て間違いないだろう。

まとめ

多くの人が待ち望んでいる「新元号の発表」と「西暦利用への統一」。

しかし、歴史を紐解いていくと「新元号の発表」についても「西暦利用への統一」についても一筋縄ではいかないだろうし、あまりにも劇的に変更するには多くの人が関わりすぎていて極端な決定はできないといった状況だろう。

今回の改元を期に多くのことが変わっていくきっかけとなる決定を政府にはしてもらい、後世では悩みがない改元ができるように基準を作ってもらいたい。そのためにも、まずは企画部分として西暦利用への統一の協議と決定に時間をかけ、方針を決定していく流れをぜひ作り出してもらいたい